馬は、移動や運搬のための手段としてだけではなく、多くの場面で、様々な効果をもたらしてくれます。
今回は、馬がもたらす様々な効果について御紹介します。
〇スポーツとしての効果
世界的に乗馬はスポーツの一つとして定着しています。
その効果はほかのスポーツと同様、体力の維持・向上や遵法精神が培われることが挙げられますが、乗馬特有の効果として、生命を尊重する精神や、物言わぬ動物に対する協調性もまた育むことができます。
〇セラピーとしての効果
乗馬をすることで、「運動をする」という強い意思がなくとも、騎乗者の体が馬の動きに合わせて自然に動くため、運動不足の解消や全身の機能回復への効果があるとされています。
また、馬の世話をして乗馬をすることで、協調性、責任感、信頼感など教育的な効果が得られるほか、穏やかな精神や忍耐力などが身につくことから、精神的な健康に問題がある人にも治療的な効果があるとされています。
これらの効果を期待した取組が「ホースセラピー」です。他のコラムでも御紹介していますので、合わせて御覧ください。
・ホースセラピーについて①<https://hl-iwate.com/news/999/>
・ホースセラピーについて②<https://hl-iwate.com/news/1001/>
〇犯罪者更生への効果
馬は、年齢、人種などによって人を差別せず、平等に対応することから、社会から疎外される懸念がある人に対しても、有効に活用することができるとされています。
海外では、若い犯罪者、薬物常用者、長期服役者の更生や再犯者に対する支援に馬が用いられているほか、国内のある刑務所では、馬を使った矯正プログラムが導入されています。
〇土壌の保全効果
馬を放牧することで、雑草の除去が行えるほか、馬の排せつ物を堆肥化し散布し、土壌を農地に適した状態に回復させることができます。林間部でもポニー等を放牧して下草を食べさせ下草を刈ることで、樹木の育成に効果を発揮します。
国内では、休耕田に馬を放牧し、排せつ物で土壌の改良を図りながら、その景観を観光・地域おこしに活用する取組が行われています。
〇その他
馬に乗って自然の中を散策する「ホーストレッキング」を応用し、車が入ることができない地域での環境の監視、人命救助、野生動物の保護などを乗馬で行うことも、山岳・森林が多い日本においては効果的であるとされています。
(参考:「畜産の研究別冊 馬の活用 乗馬の楽しみとホースセラピー」2011、養賢堂)