「馬の癖」について
2021.11.12

「馬の癖」について

人間が何かしらの癖があるのと同じように、馬もまた何かしらの癖を持つことがあります。
今回は、馬が持つ癖について御紹介します。

馬の癖は、次の2種類に分かれるとされています。

①馬の攻撃欲求や恐怖など、はっきりとした理由があるもの
 いわゆる「異常行動」「悪癖」とされるものです。学習によって獲得・強化※されます。
 ※乗馬において、一度膠着をした結果その後走らずに済んだという経験を学習し、次からも走らないために膠着をするようになる など

 ・「咬癖(こうへき)」:人間や他馬に噛みつく。自分の体を嚙む場合は「身っ食い」と呼ばれることもある。
 ・「蹴癖(しゅうへき)」:人間や他馬を蹴る。
 ・「膠着(こうちゃく)」:人の指示に従わずに動かなくなってしまう。
 ・「後退癖(あとびき)」:運動しているときや馬をつなぐときに後ずさりをする。
 
 これらの癖は、理由があることから、矯正をすることが不可能ではないとされています。

②理由や機能がはっきりしないもの
 意味(理由)がないけど繰り返されるもので、「常同行動」と呼ばれるものです。

 ・「熊癖(ゆう癖)」:体を揺する行為で、前脚の腱を痛める原因になる。「ふなゆすり」と呼ばれることもある。
 ・「さく癖」:上の歯を壁板などに押し当てて空気を飲み込む行為で、栄養不良や風気疝(腸内にガスが溜まる腸閉塞の一種)の原因になる。「グイッポ」と呼ばれることもある。

 これらの癖は、行動自体には理由がありませんが、行動そのものが快感に結びついたり、ストレス解消に結びついていると考えられており、それゆえに矯正をすることは難しいとされています。
 ただ、常同行動は人間でいう貧乏ゆすりのように、他の生物でも普通にみられる癖です。無理に矯正を行おうとするより、その癖も含めて馬と上手に付き合っていくことの方が、自然なのではないでしょうか。

(JRAのサイトなどを参考にしました)